ニンジンと卵とコーヒー

ある日、若い娘が母親に愚痴をこぼした。様々な難問に直面していてもうダメかもしれない、いくら頑張ってみても
一つ問題を解決したと思ったら、また別なことが起きてきてキリがない、何をどうしたていいのかさえ
分からないのだから、もうあきらめてしまいたい、と。

すると母親は何も言わず娘を伴って台所に入っていった。
コンロに水をはった鍋を3つ置き、それぞれに人参、卵、そしてコーヒー豆を入れて、何も言わないまま
20分ほど沸騰するのを待ち、人参、卵を器に取り出し、コーヒーをすくってカップに注いだ。

「ここにあるのは何かしら」ようやく口を開いた母からの質問に、娘はためらいながら答えた。
「人参と卵とコーヒー」
すると母親は人参を触って見るよう促した。

「固いと思っていた人参が茹でることによって柔らかくなっているのが分かるかしら」と母は言った。
「逆に卵はどう?もろくて壊れやすいと思っていたものが茹でられて固くなっているでしょ」
「それじゃコーヒーはどう?」
母に勧められて娘はカップを手にし、コーヒー特有の匂いをしばし楽しんでからすすった。
「あなたは人参と卵、そしてコーヒーのうちどれかしら?」と母が娘に問いかけた。

娘はさらに戸惑った素振りを見せて、どういうことなのかと尋ねた。すると母は次のように語った。

「あなたは人参のように強固な意志をもっていたかしら?それが痛めつけられるような経験によって煮立った
人参のようにフニャフニャの精神に変わってしまったのかしら?
それとも柔らかい殻でありながら流動体を包み込んで順応性が高かった卵が、悲しみを体験するうちに
かたくなな心になって、無感覚になってしまったのかしら?
けれど挽いたコーヒーの豆はちょっと違うの、お湯そのものを変えてしまうから。あなたに辛苦を与えた
環境であるお湯を、よ。お水が熱くなってくると豆は香りと味わいを放つの。もしあなたもコーヒー豆のようなら
最悪の状況でこそ自分を高めることができ、周囲の状況をも変えられるのよ。
困難であればあるほど自分を向上させていくチャンスでもあるのよ。
それはあなたがその苦境をどう対処するかにかかってくるのよ。
ではあなたはニンジンと卵、それともコーヒーのどれかしら?」
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by naoko_nikki | 2011-01-08 04:03 | 心の話